あらすじ

巨大機動兵器〈同調機〉は、操縦者の記憶を燃やして動く。 大切な記憶ほど、よく燃える。 辺境防衛軍の少年パイロット・トウマは、かつて最強と呼ばれた。いまの同調出力は部隊最下位。五年間の戦いで、両親も、故郷も、誰かと交わした約束も――エピソード記憶のすべてを使い果たしたからだ。 残ったのは、自分の名前ひとつ。 それでも撃墜数は軍で一番。理由は本人にも分からない。分からないまま、今日も彼は隊列の一番後ろに立つ。誰に命じられたわけでもないのに。 ある日の戦闘で、一体の忘却体《ぼうきゃくたい》がトウマの機体だけを追ってきた。攻撃もせず、至近で止まり、真空のはずの宇宙から二音節の「声」を届けてくる。 聞き取れない。なのに、名前を呼ばれた気がした。

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小説を読もう2026/08/05
  • 現在の作品『残灯《ざんとう》 ――記憶を燃やす戦場で、おれに残ったのは名前ひとつ』