あらすじ

人を襲う感染者「クズリ」が地上を覆い、人口が二割まで減少してから数十年。 生存者たちは、かつて巨大な都市群が連なっていた一帯へ集まった。 その旧都市圏は今、異なる理念を掲げる四つの勢力によって分割されている。 秩序を掲げる組織SPESが支配する「メトラ環都」。その最外縁、クズリの徘徊する危険地帯と壁一枚で接する貧民街「ブラックウォーター」で、十七歳のスギノ・ヨウタは、双子の兄タツミ、母ハルと暮らしている。 俊足と身軽さを頼りに、危険地帯から物資を回収して日銭を稼ぐヨウタ。誰かを見捨てられない彼の優しさは、この世界ではしばしば損になる。 無口で荒っぽいタツミもまた、家族を守るためなら、自分が傷つくことを恐れない。 貧しくとも支え合ってきた三人だったが、ハルの吐血をきっかけに、その暮らしは崩れ始める。母を救うためには、二人が真っ当に働くだけでは到底払えない治療費が必要だった。 やがて双子は、ブラックウォーターを取り仕切る反SPES組織「G.V.」と関わり、口のうまい青年ジュンの誘いによって、SPESの輸送資金を奪う危険な計画へ身を投じる。 それは、母を救うための選択だった。 しかし、その一歩が家族を引き裂き、兄弟を、四つの領地とクズリの群れが待つ過酷な旅へ追いやっていく。 人であることさえ贅沢になった世界で、それでも誰かを見捨てずに生きられるのか。 これは、終末を生きる双子の兄弟が、それぞれの「正しさ」を探す物語。 【主な登場人物】 ■スギノ・ヨウタ 十七歳の主人公。優れた運動神経と俊足を持ち、危険地帯で物資の回収をしている。心優しく、損になると分かっていても、困っている人を見捨てられない。 ■スギノ・タツミ ヨウタの双子の兄。無口で疑い深く、筋の通らないことにはすぐ拳が出る。乱暴に見えるが家族への情は深く、母の治療費を稼ぐため、危険な仕事にも手を染めていく。 ■ハル ヨウタとタツミの母。過酷な労働を続けながら、女手一つで双子を育ててきた。息子たちの優しさを何より大切にしているが、身体を重い病に蝕まれている。 ■スドウ・ジュン 人当たりがよく、口の達者な青年。ヨウタの能力と人のよさに目をつけ、G.V.の計画へ誘い込む。親しみやすい反面、自分の利益を優先する抜け目のなさを持つ。 ■トオル ブラックウォーターを実質的に取り仕切る組織、G.V.のリーダー。貧しい住民を守る一方、SPESからメトラ環都を奪還する機会をうかがっている。

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カクヨム
カクヨム2026/08/05
  • 現在の作品STRAY DAWNー終末世界の貧困街で、少年は罪を犯すー