あらすじ
この世界は、「水槽」みたいだーーー。
水草も石も何も無い教室の金魚鉢を眺めながら、僕はそう思った。
その金魚は、僕の哀れみなんて知らずに当たり前のように、ひらひら泳いでいる。そうやって、エサをもらってパクパクしながら、一生を終える。
「何、じっとそんなの見て」
酸素ボンベから溢れるあぶくのように尽きず湧き出ていた僕の悩みに割って入って、彼女はそう言った。
理解しがたい。自由で、軽く、遠い姿。
「抜け出すだけなら簡単だよ。冒険すればいい」
冒険。その意味が分からない。気付けば、僕は先行く君の背を追っていた。