あらすじ
城塞都市オルセラでは、毎夜零時、市民が大鐘へ一つの記憶を税として差し出す。
誤って徴収された記憶を持ち主へ返す「遺失記憶係」のイリアは、七年前、弟フィンの存在を街の記録と人々の記憶から失った。彼の名を覚えているのは、代償と引き換えにその名を骨へ刻んだイリアだけ。
ある日、仕分け場へ届いた赤い憶晶には、三日後の日付と、消えたはずの弟の声が残されていた。
これは、失われた記憶に宿る事件を解きながら、都市を守る鐘の欺瞞へ迫る、ダークファンタジー×お仕事ミステリー。奪われた人生を返すたび、イリアは弟の救出と都市の存続が両立しない可能性に近づいていく。