あらすじ
雪山に抱かれたラチェン王国。
春の種播きを告げる大祭のさなか、王家と大寺院の権威を象徴する国印〈雪輪印〉が、巨大寺院テンリンの保管室から盗まれた。
天文暦が定めた吉日に開倉式を行うため、残された時間は七日間。
消えた印箱。食い違う帳簿。三冬前に失われた二百袋の種麦。そして、リンチェンへ何かを訴えようとして姿を消した若い修行僧。
国王から捜索を命じられた第二王子リンチェンは、幼い頃から共に育った護衛の姉弟、短剣使いのペマと、大槍を操るノルブを連れ、寺院の奥へ踏み込んでいく。
【主な登場人物】
◆リンチェン・ドルジェ 21歳
ラチェン王国の第二王子。剣の腕に優れるが、考えるより先に身体が動く。雪輪印の捜索を国王から命じられる。
◆ペマ 23歳
リンチェンの護衛。小柄で身軽な短剣使い。幼い頃からリンチェンと共に育ち、王子の無茶にも遠慮なく意見する。
◆ノルブ 20歳
ペマの弟で、リンチェンの護衛。大柄な体格の槍使い。実直で力が強く、三人の中では場を和ませることも多い。
◆ソナム・ギェルツェ 30歳
王太子であり、リンチェンの兄。慎重で現実的な判断を重んじ、王国の日常政務を担っている。
◆クンガ・ペルデン 14歳
テンリン大寺院の頂点に立つ若き大法座。幼さを残しながらも、寺院を背負う者として冷静に振る舞う。
◆チュンペル・ロサン 48歳
テンリン大寺院の財務院長。寺院の自立を重んじ、王家に依存しない力を築こうとしている。
◆セルポ・ナムギェル 48歳
王室寄進局長。三冬前に起きた種麦二百袋の行方を知る人物。
◆テンジン・パサン 17歳
獅子行宗の若い修行僧。帳簿の食い違いに気づき、リンチェンへ伝えようとする。