あらすじ
二〇一六年、日本各地にダンジョンが出現した。そこから排出されるのは、剣や宝石ではない。失った心臓、消したい記憶、切れたはずの関係――人間が「もう要らない」と判断したものだ。
国家の地下三階にある遺失物課で、主任・相崎悠人は、届いた怪異を「返却」「保留」「処分」「異議申立可」の四択で決裁している。だが、返却は救済ではない。心臓を戻せば持ち主の死亡時刻が五年前に確定し、記憶を戻せば別人として築いた人生が壊れることもある。
新人・久住ねむが着任した朝、品目欄のない第一号案件「000001」が五年ぶりに動き出す。それは相崎だけが知るダンジョン事故と、国家が「処分済み」にしたはずの人々の喪失へ繋がっていた。
怪異を法と証拠で裁く、全40話完結の行政ミステリー。