あらすじ
「食事のたびに小言、皿を下げれば嫌味。おまえのような口うるさい女はもうたくさんだ!」
星祭りの夜会で、王太子殿下はそう仰って、わたくしとの婚約を破棄なさいましたの。お隣には、天使のように笑う男爵令嬢さま。
よろしくてよ。承知いたしましたわ。
ただ、皆さまおひとつだけご存じありませんの。
わたくしの家は代々、王の食卓を検める御膳番の家系。この十年、殿下の御膳から「お口に合わないもの」を黙って下げ続けてきたのは――わたくしですのよ。
銀の簪を置いて、わたくしは国境の街へ。疑うためだった舌が、はじめて「おいしい」のために使われる場所へ。
さて、それでは皆さま、ごきげんよう。
今宵から殿下の御膳を検める者は、あの城にはおりませんの。