あらすじ

四十年、口を開けて待っている。悪い本でもいい。本を、入れてくれ。 梅ノ木駅前に白いポストが立っている。『悪書追放 青少年に見せてよくない本を入れてください』。四十年前の運動の名残で、駅前の本屋は三軒とも潰れ、中身はこの二十年ほぼ空だ。 設置四十周年を機に、市は妙な催しを企画する。「悪書追放四十周年記念・公開大喜利 青少年に見せてよくない本とはどんな本か」。毒舌の黒門、最年少のこまち、八十八歳のぽん平、住宅ローンが二十六年残る小市民、元塾講師のかしこ。座布団運びは地元郵便局の山田くん。 ビニ本、返済予定表、巻末に答えの載った問題集——ベタな笑いから始まった大喜利は、四十年間答えの出なかった問いへじりじり寄っていく。いちばん見せてよくないものは、たぶんもう、あの投函口には入らない。 ポストを四十年守ってきた老会長には、まだ誰にも言っていないことがある。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/08/04
  • 現在の作品白いポストは知っている