あらすじ

魔法を使えば、必ず熱が生まれる。 では、その熱はどこへ行くのか――誰も答えを知らなかった。 宮坂理人、二十五歳。十七歳で大学へ飛び入学し、化学工学を修めたプラント技術者である。高圧設備の実証試験中、彼は六人の日本人とともに剣と魔法の異世界へ召喚される。 ほかの召喚者が《剣聖》《聖癒》《炎帝》といった強力な恩寵を得るなか、理人に与えられたのは、熱と圧力の流れが見えるだけの《熱流眼》。 戦えない役立たずと判断された理人は、古代遺跡の調査を名目に地下へ送られ、昇降機ごと闇の底へ落とされてしまう。 死を免れた理人が出会ったのは、巨大洞窟に築かれた地下王国だった。 人口三万。相次ぐ浸水、蒸気爆発、有毒ガス、鉱山汚染、腐食する配管。古代の排水設備や換気設備に支えられた王国は、滅亡まで長くても二年と見積もられていた。 理人は《熱流眼》で岩盤内部の異常を発見し、巡回隊を蒸気爆発から救う。その能力を評価した女騎士エルナに連れられ、素性を疑われながらも地下王国の技師として働き始める。 熱力学、流体力学、化学反応、水質管理、腐食防止。理人は現地の職人や魔導機関士と衝突しながら、壊れたポンプや換気塔、浄水施設を一つずつ修理していく。 だが、古代設備を復旧するほど、地下王国を蝕む災害の正体が明らかになる。 豊かな地上の魔法文明は、魔法によって生じた廃熱と有害な魔素を、すべて地下へ捨てていたのだ。 これは、戦えないと捨てられた技術者が、剣でも大魔法でもなく、観察と実験と現地の仲間たちの力で、廃熱に沈む地下王国――そして熱収支の壊れた世界そのものを修理する物語。

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小説を読もう2026/08/04
  • 現在の作品熱収支の合わない魔法世界 ~異世界召喚で役立たずとされた技術者は、廃熱に沈む地下王国を修理する~