あらすじ
十年、蝋燭屋で芯を撚ってまいりました娘が、政略結婚で店ごと娶ると仰った方に、十年分の芯の束を解いてお相手いたしましたら、次の改めでお家の蝋燭が売れなくなりました。
今年の蝋が湿れば撚りを一つ増やす。夜なべの長い家には保ちの効く芯を。それを読めるのは、わたくしの指だけ。灯りに残るのは保ちであって、保たせた撚りではございません。
わたくしは裁きません。講の改めで、二本を同じ火に掛けていただくだけでございます。どちらにも手を加えず、灯りが尽きるまで皆さまに見ていただきます。
——次の改めから、お家の名を灯りの値付けで聞かなくなりました。