あらすじ
七年かけて揃えた徒弟の道具箱を「用済みだ」と家主に取り上げられましたので、ご自分の証文を第一条から読み上げていただきましたら、三条目に預かれぬと書いてございました。
第一条、店賃の遅れは三日まで猶予する。二日は、遅れですらございません。
第二条、滞れば家財を預かる。第三条——こちらは、あなた様がお読みになりますか。
わたくしは声を荒げません。書いたのはあなた様で、署名もあなた様のものでございます。わたくしはただ、番号の順に読み上げるだけでございます。
——道具箱は、もう蔵にはございませんでした。