あらすじ
夏という季節は、巡り合いと別れの記憶を強く呼び覚ます。
主人公は、ネットを通じて出会い、一度も直接会うことのないまま別れることとなった「あの人」の存在を思っている。
画面を閉じ、アカウントを消せば存在ごと無に帰せるはずの世界。それなのに、日常のふとした瞬間に思い出すのは、画面越しに交わしたあの人の言葉や思考の癖だった。
一度も同じ空気を吸ったことすらなく、実体を持たないはずの愛。
なぜ自分はこれほどまでに、去っていった誰かの影に侵食されているのか。
通知の途絶えたスマートフォンの黒い画面を見つめながら、主人公は出会いと別れがもたらす「呪い」の正体と、書き換えられてしまった自分自身に向き合っていく。