あらすじ
ユウジはアホだった。
本当にアホだった。
優しいアホだった。
児童養護施設・若葉園で育った十八歳のユウジは、園を出るその日、武装犯から園長先生をかばって命を落とした。
死後、号泣する神様から願いを尋ねられ、ユウジは答える。
「何でもできて、誰でも助けられるパーフェクト人間になりたいです」
生まれ変わりたい場所も、ひとつしかなかった。
「もう一度、若葉園の前に置いてください。あそこが、俺んちだから」
四十九日後。
若葉園の玄関前に、「ユウジ」と書かれた名札を付けた赤ん坊が置かれる。
それから八年。
世界最高の頭脳。
超人的な身体能力。
見たものを何でも身につける才能。
今度のユウジは、本当に何でもできた。
それなのに、相変わらずアホだった。
困っている人を見つければ、頼まれてもいないのに助ける。
壊れた物は、みんなが寝てから直す。
誰かが困るくらいなら、自分が全部引き受ければいいと思っている。
そんなユウジの異常さに、若葉園へやってきた九歳の少女チナツが気づく。
「あんた、誰でも助けるくせに、自分が助けてもらうことだけは考えないんだね」
やがて、若葉園での暮らしを揺るがす問題が持ち上がる。
何でもできるユウジは、当然のように一人ですべてを解決しようとする。
けれど、パーフェクトな彼にも、どうしてもできないことがあった。
誰かに「助けて」と言うことだった。
これは、何でもできる優しいアホが、誰かと一緒に生きる方法を覚えていく物語。