あらすじ

三十一冊を紙袋に詰めて、燈は電車で二駅の古本屋へ行った。  翻訳者になるつもりで集めた本だった。辞書まで、全部売るつもりだった。  店主の源三は、本を開かない。表と裏を返して、角を親指で撫でて、置く。それだけで値をつける。  三十冊を買って、一冊だけ、買わなかった。 「これは買わねえ」 「……どうしてですか」 「知らん」  夕方番の学生・悠斗は、それを見ている。見て、何も言わない。  シャッター商店街のいちばん奥、古書店〈四季堂〉。  手放しに来る人と、手放させない店の話。

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カクヨム
カクヨム2026/08/04
  • 現在の作品たからものの定価 ~古本屋の親父は、本を開かない。~