あらすじ
「その花嫁衣裳を焼いたのは、わたくしです」
王都でいちばん忌み嫌われる職、灰焚べ。灰にまじった嘘を読むリゼットのもとへ、婚礼の前夜、毒を疑われた花嫁衣裳が運び込まれました。
規則どおりに焼いて、灰を三箇所から取って、それから気づきます。
この衣裳は、着せるために汚されたのではありませんでした。焼かせるために汚されたのです。そして焼く道具に選ばれたのは、どの法廷でも証言を採られず、公文書に名を書かれることさえない女でした。
――明日、花嫁は嘘を誓わされる。
けれど灰焚べは、宮廷にも法廷にも立てません。わたくしにできるのは、灰が指した先を、たった一人の人に伝えることだけ。忌み人の器から湯を飲んだ、若い衛兵隊副隊長に。
灰は嘘をつきません。ですから、わたくしの嘘も、いつか焚べなければなりません。
※一話完結・約16,000字/推理と、蜂蜜二匙ぶんの甘さ