あらすじ
サンジェル王国学院には、誰もが憧れる聖女がいる。
桃色の髪を揺らす美少女・ショコラ。礼儀正しく、優しく、困っている人を放っておけない彼女は、学院中の人気者だった。
――しかし、その正体を知る者が一人だけいる。
会計を務める伯爵令息グラス。
彼には、転生したときに授かった「人の心を読む能力」があった。相手の本音が聞こえるその力のおかげで、剣の才能を開花させ、「剣聖候補」とまで呼ばれている。
だが、その能力には大きな欠点があった。
聞きたくない本音まで、全部聞こえてしまうのだ。
隣の席のショコラが可憐に微笑めば、頭の中では――。
『攻略対象その一、グラス!』『次は王太子ルート!』『逆ハーレム完成まで頑張るぞ!』
学院中が「清楚で優しい聖女様」と絶賛する中、グラスだけは彼女が前世の知識から「ここは乙女ゲームの世界」だと本気で思い込み、逆ハーレムを目指して大暴走していることを知っていた。
しかも本人は悪人ではない。
人助けも勉強も真面目にこなし、聖女としての実力も本物。そのため誰からも疑われず、周囲は「素晴らしい聖女様」と感動するばかり。
一方で、ショコラは消しゴムを落としたり、生徒会へ押しかけたり、あらゆる出来事を「イベント」と勘違いしながら攻略を進めていく。
そのたびに胃を痛めるのは、心の声を聞かされ続けるグラスだけ。
誰にも真実を話せないツッコミ役と、世界を乙女ゲームだと信じる天然聖女。
二人の勘違いが王太子や生徒会、そして学院中を巻き込み、やがて王国を揺るがす大騒動へと発展していく――。
これは、「俺だけが聖女の本音を知っている」ことから始まる、腹筋崩壊必至の異世界勘違いラブコメディ!