あらすじ

「売り切れは成功じゃない。食べられなかった客を、放置しているだけだ」 榊原拓海、三十六歳。現代で十三のキッチンカーブランドを成功させた、移動販売のヒットメーカー。ただし、剣も魔法も使えない。 自分名義の店《ノマド》とともに転移した先は、人間軍一万人と魔王軍一万人がにらみ合う戦場だった。補給は途絶え、兵士たちは空腹で武器を構えることすらできない。そこで拓海が見たのは、絶体絶命の危機ではなく――二万人分の、手つかずの需要だった。 残り百二十食。冷蔵設備はあと十八時間。現代の燃料も食材も補充できない。 それでも拓海は、客の動線、提供時間、価格、保存温度、仕入れ、雇用を一つずつ組み直し、異世界で最初の移動料理店を作り上げていく。王国最強の剣聖も、正体を隠した魔王も、店の前ではただの客だ。武器を収め、銅貨を払い、順番を待つ。 冷却魔法しか使えない元魔導師は、衛生管理責任者に。差別されてきた獣人の嗅覚は、街道調査という武器に。討伐対象だった古竜とは、輸送契約を結ぶ。行き場のなかった能力が、店の歯車として噛み合っていく。 その一方で、拓海は気づいていた。人間軍と魔王軍――憎み合う両軍の保存食に、まったく同じ刻印が押されていることに。飢えは、誰かに管理されている。 これは、料理で戦争を止める物語ではない。 食事を届けるために作り上げた仕組みそのものが、飢えと嘘で戦争を操る者を、じわじわと追い詰めていく物語だ。 そして最後の戦場で武器のかわりに並ぶのは、拓海が設計した三千人分の配給と、たった一枚ずつの食券だった。 異世界グルメ × 専門職無双 × 商売成長 × ロードムービー。 全40話・約10万字、第一部完結。 ※料理による洗脳・万能バフ・無限食材はありません。

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カクヨム
カクヨム2026/08/04
  • 現在の作品剣聖も魔王も最後尾から並んでください~想定顧客は二万人!?競合ゼロの異世界キッチンカー~