あらすじ
「家計はわたくしの蓄えから、御親族への月々の仕送りもわたくしが包む。そのかわり、二人で倹しく」——婚礼の日の取り決めを、十五年守ったのはわたくしだけでした。夫の靴底は、三月ごとに新しくなっておりましたのに。
月々銀三十。薪と塩と、薬。どの家の月末が重いかは、手紙より襟に出ます。それを読めるのは、包んできたわたくしだけでございます。
わたくしは何も暴きません。公証人の前で、仕送りの引受を終え、蓄えの帰属を確かめるだけ——取り決めの、正式な終い方でございます。
——翌月、包みはどこへも届きませんでした。どなたが十五年包んでいたのか、皆さまはそこで初めてお数えになります。