あらすじ
八十年前。
人間の願いを管理していた巨大な超常機構《天秤》が壊れた。
以来、世界には時折、
願いだけ叶えて、代償の支払い方を間違える奇跡
が発生するようになった。
死んだ夫に会いたいと願った老婆の家では、昨日が永遠に繰り返された。
貧困から逃れたいと願った少年の財布からは無限に金が出たが、使うたび誰か一人からその少年の記憶が消えた。
病気を治してほしいと願った少女は不死身になったが、成長することもできなくなった。
それらは《遺失奇跡》と呼ばれる。
政府直属《奇跡管理庁》は、
被害。
費用。
救助成功率。
政治的価値。
すべてを計算し、ときには合理的に人間を見捨てる。
そんな世界で。
管理庁が「救助価値なし」と判断した事件ばかりを引き受ける店があった。
店の名は――
第十三救難店《アシタヤ》。
集まっているのは英雄ではない。
変人、犯罪者、元天才、暗殺者、人ならざるもの、役立たず。
けれど彼らには一つだけ共通点がある。
見捨てられた人間を、見捨てるのが下手だった。