あらすじ
建国記念日を翌日に控えた七月二日――八洲民主共和国の空に、直径二キロにも及ぶ謎の巨大浮遊物体が出現した。直後、通信網は正体不明の電波障害によって完全に麻痺し、街は混乱へと陥る。そして物体から放たれた一筋の光が首都中央広場を貫き、平穏だった日常は一瞬で崩壊した。
軍需開発局に勤める技術者・葉加瀬銀太は、その攻撃が偶然ではなく、綿密に計算された兵器によるものだと見抜く。しかし、広場には最愛の娘・紬がいた。父として娘を救いたい想いと、技術者として国家を守る使命の狭間で揺れる銀太は、一つの決断を下す。
彼が向かったのは、誰にも知られることなく開発を続けてきた青い可変式からくり機体《ムラサメ》。電子制御を排した歯車仕掛けの構造と、人の魂――「マブイ」を動力とするその機体だけは、敵が放つEMPの影響を受けずに稼働できる唯一の存在だった。
父親として娘を救うため。技術者として祖国を守るため。銀太はムラサメとともに絶望の空へ飛び立つ。だが、それは人類と未知の侵略者との戦いの始まりに過ぎなかった。空から来た敵の真の目的とは何か。そして「マブイ」に秘められた力とは――。
これは、一人の父親が最後の希望となり、歯車と魂を武器に世界の命運を懸けて戦う、からくりSFロボット戦記である。