あらすじ
「急な仕事で王都へ」と十七回。そのうち十一日、あなたのお名前は通行簿にございません。
わたくしは関所の関守の娘で、四年、通行簿の記帳を任されております。この街道は王都へ出る一本きりの道でございますから、通られた方は必ずこの帳面に載ります。
婚約者が並べた十七日ぶんの言い訳を、わたくしは日付だけで確かめました。名前の無い十一日。そのうち三日は、大雪で街道が閉じていた日でございます。欄が、まるごと空でございます。
わたくしは一度も「嘘」とは申しません。通行簿は、誰かを咎めるための帳面ではございませんので。
こんな方におすすめ:声を荒げない主人公/記録で静かに崩れる嘘/雪と関所の空気