あらすじ
社会人10年生、片桐恵一は、職場の後輩に誘われ、十年放置していた積みゲー「血盟のファンタジア・グローリー」に久々にログインする。十年分の大型アップデートをダウンロードしている最中、そのまま寝落ちしてしまい……。
目を覚ますと、恵一は水の中にいた。
そこは、かつて自分がプレイしていたはずのゲームの世界。
恵一の乗り移ったキャラクター「ラクリマ」は、海人族から進化した最上位異形種「コラジン」。
千時間超のやりこみと作業、周回、検証の果てに成った召喚士キャラの完成系のひとつである。
しかし、そこにあるはずの力はどこにもなかった。
種族固有の欠陥スキルによって、レベルはまさかの1。
かつて誇っていた最上位種族・最上位職業の栄光は見る影もなく、装備していた武器も、蓄えていたアイテムも、何一つとして残っていない。
伝承だけが独り歩きし、誰もが恐れ、あるいは崇める世界。
その中心にいるはずの本人は、丸腰も同然のレベル1。
恵一は自身の伝承に潜む影を追いながら、まずはこの世界を生き延びる術を探し始める。