あらすじ
世界が終わるまで、あと三日。
魔法は消え、世界樹は枯れ、人々はそれぞれ大切な人との最後の時間を過ごしていた。
そんな中、ただ一人、いつも通りに郵便局へ出勤する老人がいた。
七十三歳。
五十五年間、一度も配達を休んだことのない、世界最後の郵便配達人。
閉局準備を進める郵便局で見つかったのは、五十年前の戦争で届けられなかった一通の手紙だった。
宛先は、帰らぬ兵士。
差出人は、彼の帰りを待ち続けた妻。
「配達されていない郵便は、まだ郵便だ。」
その一言とともに、老人は人生最後の配達へと旅立つ。
世界が終わろうとしている今、届ける意味はあるのか。
これは、誰かを救う英雄の物語ではない。
最後の最後まで、自分の仕事を誠実に全うした、一人の配達人の物語。
届けようとした想いは、決して消えない。