あらすじ

草津温泉の湯畑近くにある老舗土産店「湯のしずく」。 ある夜、店主の榊原直人が店内で刺殺され、翌朝には弟・翼の遺体が湯畑の裏道で発見される。 警察は兄弟の争いによる事件と見立てるが、二人の死亡時刻、遺体に掛けられた赤い風呂敷、直人の袖口に残された湿った砂は、その推測と食い違っていた。 事件を追うのは、東京で事件記者として働いていた神谷しおり。 過去の取材で人を傷つけ、故郷の草津へ戻った彼女は、もう事件には関わらないと決めていた。しかし、隣のカフェ店員・小野寺玲奈が口にした、ある目撃証言をきっかけに、兄弟の死を調べ始める。 店の棚の奥から見つかった古い帳簿。 帳簿から切り取られた一枚。 兄弟の母が相続した土地。 そして、温泉街の観光利益を守るため、長年続けられてきた沈黙。 真実へ近づくほど、町の人々は同じ言葉を繰り返す。 「町を守るためだった」 兄は何を守ろうとしたのか。 弟は誰を救おうとしていたのか。 事件の夜、玲奈は店の裏口で何を見たのか。 湯煙に包まれた温泉街で、家族への愛情と善意が、やがて最も残酷な形へ変わっていく。 美しい観光地の裏側に隠された、二つの殺人と三十年の沈黙を描く、温泉地ミステリー。

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小説を読もう2026/08/04
  • 現在の作品草津温泉土産店の兄弟