あらすじ
休日になると、彼はドローンを飛ばした。
風を読み、障害物を抜け、空を駆ける数分間だけは、仕事も人間関係も忘れられた。
ただ、それだけだった。
ある一本の動画が世界中へ拡散されるまでは。
高額な依頼。
海外での撮影。
自分にしか飛ばせないと言われた操縦。
そして気づいた時には、その指先は、誰かの命を奪う戦争の一部になっていた。
善人だったはずの男は、追われ、裏切られ、自分の才能を憎み、それでも飛ばすことだけはやめられない。
本当に恐ろしいのは戦争なのか。
それとも、極限まで追い詰められた時、誰の中にも静かに顔を出す狂気なのか。
これは、空を愛した一人の男が、自分自身の中に潜んでいた「もう一人」と向き合うまでの物語。