あらすじ
彼女は、毎年八月になるとツクツクボウシになる。
……いや、比喩ではない。
木に登る。 鳴く。 完璧なツクツクボウシの声で鳴く。
僕の彼女、白川透子には「蝉化症候群」という謎の症状があった。
医学的には存在しない。 医者も困る。 本人も困る。
でも僕は、そんな彼女を好きになった。
夏になると蝉になる彼女。 木に登る彼女。 鳴き終わると何事もなかったように「帰ろうか」と言う彼女。
普通じゃない?
だから何だ。
これは、蝉になる彼女と、それを見守る僕の、世界で一番静かで、一番うるさい恋愛物語。