あらすじ

2026年5月、母校の旧校舎解体に伴い、埋設されたタイムカプセルの掘り返しが決まる。同窓会幹事を二十年続ける柊木悠は、集まった三十七通の手紙を開く。しかし、どの便箋も冒頭の宛名が油性ペンで塗りつぶされており、悠自身の手紙だけが見当たらない。三十七通はすべて謝罪文だった。  筆跡照合で書き手がクラス全員であることを突き止めた悠は、一人ずつ問いただすが、誰もが優しくはぐらかす。やがて手紙を透かした彼は、宛先が全員「柊木悠」であったことを知る。  二十年前の卒業式の日、担任・谷内は悠に告白を背中押し、クラスは拍手で迎えた。沢渡佳乃は断る役を引き受けさせていた。その夕方、罪悪感を覚えた生徒たちが手紙を書き直し、谷内は宛名を塗らせた。誰も反対しなかった。  元担任のもとを訪ねた悠は、全てを隠さない谷内の告白に何も言い返せない。だが、箱の底から悠自身の三十八通目が見つかる。宛名は塗られていない。断られる前に、彼はすでに謝っていた。 最後に悠は手紙を全員に返し、自分の一通だけを二十年遅れて投函する。

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エブリスタ2026/08/03
  • 現在の作品宛名のない謝罪文