あらすじ
2035年。AGI(超高性能AI)の誕生から5年。
ついに「完璧な平和」を手に入れた世界。
芸能の世界でも、AIのアイドル「AIDOL」が市場を席巻していた。
そんな時代に、主人公・相田 拍(あいた・はく)は、「生身」の自分の可能性を信じて、北海道稚内市から、アイドル育成のメッカ、東京・武蔵野市の「私立咲ヶ丘女子高等学校」――通称サクガクの卒業祭に来ていた。
しかし、ステージで完璧なライブを披露する同世代のAIDOL学生に圧倒され、入学前に挫けそうになる。(はやい)。
いっぽう伊豆では、AGIの開発を最後に引退した天才エンジニア
佐野・アルトマン博士が、ひそかにもうひとつのAIを作り上げていた。
名前は、「オムニ」。
正式名称「オムニ・シリーズ よんぜろ型」。
博士が「孫娘」と呼んで愛でる、「高度感受性AIヒューマン」である。
オムニは、AIが人間社会を学ぶ「社会観察期間」の学生として、
この3月、サクガクに派遣されていた。
4月からは正式入学。オムニは、学生生活にわくわくしていた。
3月卒業祭の終盤、夕焼けの校庭で、
オムニは偶然、落ち込む拍と出会う。
拍は、アイドルになりたかった。
ぜったいになりたかった。
オムニは、サーバの電子の中で、ずっと青春を夢見ていた。
何かに、熱く打ち込んでみたかった。
アイドルを目指す拍と、「2年間」のオムニ。
ふたりの時間が、始まる。