あらすじ
建築学科に通う大学生・築城実(ちくじょう みのり)は、設計図を描くよりも、現場で職人と汗を流すことが大好きな変わり者。
左官、石積み、大工仕事、古民家改修――。
誰よりも現場を愛していた彼女は、「設計より現場ばかり。そんな学生に建築家は務まらない」と大学で評価されず、居場所を失ってしまう。
失意の中、突然異世界へと転移した実がたどり着いたのは、戦争と災害で滅びかけた小さな村。
雨漏りする家、崩れた石垣、壊れた橋、水の引かれない井戸。
「大丈夫。みんなで直せば、この村はもう一度笑える場所になる。」
日本で培った建築の知識と現場経験を武器に、村人たちと一緒に村を再生していく実。
そんな彼女を最初はよそ者として警戒していた若き領主は、誰よりも泥だらけになって働く彼女の姿に、少しずつ心を動かされていく。
一方の実も、不器用だけれど村人を誰より大切にする彼の優しさに触れ、気づけば目で追うようになっていた。
これは、崩れた村を建て直しながら、人の心と未来、そしてひとつの恋をゆっくり育てていく物語。
家を建てるたび、人との絆も積み重なっていく――。