あらすじ
俺は、悪役になりたかった。
世界を滅ぼすような本物の悪ではない。
物語の序盤に登場し、黒いマントを翻し、不敵な笑みを浮かべ、主人公に敗北して華麗に退場する――そんな「最高の悪役」を演じたかったのだ。
しかし、異世界へ転生した俺を待っていたのは、まさかの現実だった。
俺が生まれ変わったのは、オリオン・ヴァレリウス。
没落寸前の貴族家に生まれ、魔力も才能も持たない落ちこぼれ。
そして物語の序盤で、名もなき盗賊たちに殺されるだけの存在。
そう――俺は「第一話で死ぬ悪役」だった。
決められた運命。
誰にも覚えられない結末。
主人公の成長を引き立てるだけの脇役。
だが、俺はその運命を受け入れるつもりはない。
もし世界が俺を悪役にするというのなら、最高の悪役になってやる。
誰もが恐れる存在に。
誰もが語り継ぐ伝説に。
ただし、一つだけ誤算があった。
俺が悪役らしく振る舞うたび、周囲はそれを「世界を裏から操る天才的な策略」だと勘違いしていく。
これは、ただ悪役を演じたかった少年が、いつの間にか本物の伝説になってしまう物語。