あらすじ
―教授と刑事シリーズ(全三部作)第二作。
死んだはずの男が、二十人の前でグラスを上げた。
銀座で画廊を営む男が、郊外のアトリエで撲殺された。
死亡推定時刻は、午後七時前後。
ところが同じ夜の八時半、銀座の画廊のパーティーで、
二十人を超える出席者が「本人」の姿を見ている。
白いジャケット、ソフト帽、眼鏡。十年来の取引先までが、そう証言した。
警視庁捜査一課の音無楓が頼ったのは、今回もあの男―
帝都大学の認知科学者・灰川宗介。手土産は、約束のラムネ菓子。
「人間は、視界に入ったものを見ているんじゃありません。
注意を向けたものだけを見て、残りは脳が『たぶんこうだろう』で埋めている」
残されたのは、たった七秒の動画。
そこに映った偽者の、身長、利き手、歩き方、そして―まばたき。
人の目が取りこぼした死角を、科学で埋めるミステリー。