あらすじ
2026年。
65歳の配送員・浅倉航一は、雪の夜の配達中に倒れた。
仕事ばかりを優先し、家庭も持たず、父の最期にも間に合わなかった人生。
意識が遠のく中で聞こえてきたのは、何十年も前に亡くなった父の怒鳴り声だった。
「いつまで寝てる! はよしねまっ!」
目を覚ますと、そこは昭和50年――1975年の福井県武生市。
航一は、14歳の自分に戻っていた。
目の前には、若き日の父・鉄平がいる。
無口で短気で、家族より仕事を優先しているように見えた父。
もう二度と会えないはずだったその手は、確かに温かかった。
だが、再会を喜んでいる時間はない。
父と祖父が営む小さな会社「浅倉運送店」は、最大の取引先を奪われ、倒産寸前。
残された時間は、わずか90日。
トラックは4台。
社員は6人。
金も設備も、大企業に対抗する力もない。
航一にあるのは、65年間物流の世界で働いてきた経験と、これから訪れる未来の大きな流れを知っていることだけだった。
やがて、小さな荷物が全国を行き交う時代が来る。
コンピューターが仕事を変え、家にいながら物を買い、注文した品が翌日に届く未来が来る。
だが、未来を知っているだけでは、荷物は届かない。
道を知る祖父。
人を動かす父。
未来を知る航一。
3人は、倒産寸前の運送店から、新しい物流の道を切り開いていく。
これは、未来知識だけで成功する物語ではない。
父を嫌い、父を理解できないまま別れた男が、もう一度その息子になり、不器用な父と働きながら、失われた家族の時間を取り戻していく物語。
今度こそ、おやじを失わない。
今度こそ、仕事より大切なものを間違えない。
雪国の小さな運送店から、やがて全国へ、世界へ。
昭和を舞台に描く、父と息子のタイムリープ企業再生物語。