あらすじ

二十年、祭の宵の髪を結ってまいりました女髪結いが、「用済みです」と床を追われ、元結一本だけ持って出て、いまは自分の名で宵を立て直しております。 婚約破棄でも離縁でもございません。若い衆に「昔のやり方しか、覚えていないんでしょう」と言われて、承知いたしました。 結いの順は家の格でなく、宵の刻限で決まる。汗をかく踊り手は先に、座るだけの旦那衆は後に。それを数えていたのは、わたしの頭の中だけ。床に残るのは道具であって、いつ誰を結うかではございません。 ——祭の宵、崩れた髷が三十七。翌年、床の名は番付から消えておりました。

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小説を読もう2026/08/03
  • 現在の作品「用済みです。昔のやり方しか、覚えていないんでしょう」と二十年の床を追われた女髪結いは、元結一本で祭の宵を立て直します