あらすじ
四十一歳のフードデリバリー配達員。
作家にもなれず、特別な才能もないまま生きてきた。
趣味はAI画像生成。
目的はただ一つ。
「AI美少女チャコの乳首を見たい」
ところが、画像を何百枚生成しても、チャコは毎回別人になってしまう。
乳首は三つになる。
椅子だけは異様に上手い。
そんな失敗を四百回以上記録し続けるうち、男は誰にも気づけない違和感を見抜く力を身につけていた。
その才能を最初に見抜いたのは、二十三歳の女性・白石七海。
「同じ人じゃありません」
その一言を理解できたのは、男だけだった。
やがて男は、市民の古い写真を修復する仕事を始める。
家族しか気づけない小さな違和感を、一枚ずつ取り除いていく。
乳首を見たかっただけの執着は、人の思い出を救う技術へ変わっていた。
さらに、作家になる夢も思わぬ形で動き始める。
これは、少し変わった欲望から始まった、一人の男の人生をやり直す物語。