あらすじ
――魔王を殺すのは、これで何万回目だろうか。
勇者パーティの魔法使い・フィーアは、終わりのないループの中に囚われていた。
魔王を打ち倒し、世界に平和が訪れ、勇者が姫と結ばれる完璧な大団円。しかし、その【ハッピーエンド】を迎えた瞬間、世界は無慈悲に暗転し、強制的に「魔王城の最後の門の前」へと引き戻されてしまうのだ。
幾万もの死と試行錯誤の果てに、フィーアの魔力は完全に限界突破《カンスト》していた。
今や魔王など無詠唱の極大魔法で消し飛ばせる。しかし、圧倒的な力で劇を破壊すればするほど、かつて背中を預け合った仲間たちからは「得体の知れないバケモノ」として恐怖の目を向けられるようになっていく。
すり減った精神が限界を迎えた彼女は、ついにこの狂った世界の仕様《ルール》に抗うことを決意する。
「平和になるからリセットされるなら、誰も死なず、平和にもならない結末を作ればいい」
結末をへし折るために、フィーアが選んだ手段。
――しかしそれは、彼女を完全な発狂へと引きずり込む、真の無限地獄への入り口に過ぎなかった。
どんなに足掻いても、どんなに狂っても、どんなに死を望んでも、システムは彼女に『正しい主人公の態度』を強要し続ける。
――これは、逃げ場のない強制ループの果てに心を壊された、一人の魔法使いの絶望の記録。
どうか、この終わらない世界を『読まないで』あげてください。