あらすじ
王立死籍院に勤める記録官リシェルは、地下書庫で十五年前に受理された自分の死亡届を発見する。
死因は灰熱病。享年七歳。
届出人は、死籍院長である母エヴァだった。
母は「記録に間違いはない」と告げる。調査を始めたリシェルは、同じ病で死亡したとされる子どもたちと、王国の記録から消された村へたどり着く。
そこで知ったのは、北方の魔物〈灰喰らい〉と戦う不死騎士団が、生きた子どもたちの寿命と記憶によって蘇っているという真実だった。
そしてリシェル自身の名前も、百二十七人の騎士を蘇らせるための〈主名〉として使われ続けていた。
死名術を止めれば、騎士団は消滅し、王都は滅びる。
止めなければ、次の犠牲者として十三歳の弟が死者名簿へ登録される。
一人の子どもを差し出して国を救うのか。
すべてを公表し、守られてきた王国を終わらせるのか。
これは、死者として生きてきた少女が、奪われた名前を取り戻す物語。