あらすじ

宗谷そうすけ、三十二歳。強欲で、浅い。 祖父が遺したのは、鳥取の潰れかけの私立高校だった。相続してすぐ、彼は最大の誤算に気づく。学校法人は、配当ができない。どれだけ儲けても、一円も、自分の懐には入らない。 ならば、と彼は考える。学校の"値段"を吊り上げ、名前を売り、講演で、テレビで、いつか政界で稼げばいい。そのための最良の広告が——甲子園だ。 こうして彼は、金儲けのためだけに、甲子園を目指しはじめる。名将を値切って雇い、定員割れの空席にうまい中学生を座らせ、電卓を叩き、頭を下げる。生徒の名前は、一人も、覚えない。覚える必要が、彼の帳簿には、ないからである。 彼は最後まで、なぜ学校が良くなっていくのかを、理解しない。 ——そして、朝の五時のグラウンドの隅で、彼がずっと数えそこねている部が、一つ、ある。

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カクヨム
カクヨム2026/08/03
  • 現在の作品甲子園は、ただの広告だ 〜どれだけ儲けても一円ももらえない高校を相続した俺は、母校の名前を売って自分の値段を吊り上げる〜