あらすじ
最強とは何なのか。
数多くの挑戦者を打ち砕いてきた黒竜は考えていた。
自分は産まれた時から最強とされている。そして、竜は成長する存在ではない。
産まれた時から完成されている存在、それが竜なのだ。
……では、つまらなくないか?
ただそこにあるだけ。それに何の意味がある。
ここで終わりならば、自分が存在する価値はどこにある。
武の頂を求めて、知の証明を求めて、人間たちは黒竜に挑んできた。
――とすると、彼らの技術を学べばより強くなることができるのではないか?
黒竜という定められた存在から、脱却できるのではないか?
彼は決める。人間となることを。
完璧が欠ければ二度とは元には戻らぬ。
即ち、二度と竜には戻れないとしても。
己は限界を越えられると、これまで挑戦者たちが見上げた頂とは素晴らしいものなのだと――証明するために。