あらすじ
明日失うものが、今夜届く駅──「第0番ホーム」。
十二歳の日向ユイのもとに届いた、自分の顔だけが白く抜けた一枚の家族写真。
『喪失内容──母が、あなたを娘と認識できなくなる』
喪失を防ぐため、ユイは午前四時四十四分までに予失物(よしつぶつ)を返さなければならなかった。
期限までに写真を返却し、母の記憶を守ることに成功したユイ。
だが、その代償として世界から消えたのは──八歳の弟、ソラの存在そのものだった。
家族の記憶からも消え、手元に残されたのは「日向ソラ」と書かれた赤い札だけ。
それから五年。
消えた弟の痕跡と過去の記録を探すため、再び「第0番ホーム」へと足をふみいれ、《遺失物係》になることを決意する。
「返すかどうかは、私が決めない。でも、もう一人では選ばせない」
明日大切なものを失う訪問者たちと、選択の代償に向き合う、切なくも温かい現代ファンタジー。