あらすじ

『幸と恵の物語』あらすじ 昭和初期の長崎。双子の姉妹・幸と恵は、家族や友人に囲まれ、笑いの絶えない日々を送っていた。女学校へ通い、将来を語り合い、それぞれ勝男、龍弥という生涯の伴侶と出会う。幸は鉄道員・勝男と結婚して広島へ、恵は造船所で働く龍弥と結婚し、四人で「いつか北海道へ旅行しよう」と約束を交わす。 しかし、戦争は穏やかな日常を少しずつ奪っていく。軍需工場で働く父・勝一、家族を支える母・節子、それぞれが時代に翻弄されながらも懸命に生きる。そして1945年8月6日、広島に原子爆弾が投下され、幸と勝男は命を落とす。三日後の8月9日には長崎にも原爆が投下され、大村加工所は壊滅。両親を失った恵は重傷を負い、必死に捜し続けた龍弥と再会する。 死を前にした恵は龍弥へ、「生きて」「人を運ぶ船を造って」「広島と長崎で起きたことを伝えて」「四人分の北海道行きの切符を買って」と願いを託し、終戦から一週間後、二十二歳で静かに息を引き取る。 深い悲しみを抱えながらも、龍弥は約束を守り続ける。造船技師として人々を運ぶ船を造り、被爆体験を国内外で語り継ぎ、新たな伴侶・夏菜子と家庭を築く。生まれた子どもたちには、亡き家族への思いを込めて幸・恵・勝一と名付けた。 やがて、長年失われたと思われていた幸と恵の女学校時代の卒業写真が見つかり、子どもたちは二人の笑顔と初めて出会う。過去は決して忘れ去られることなく、新しい世代へ受け継がれていく。 『幸と恵の物語』は、原爆の悲劇だけでなく、その前に確かに存在した青春や恋、家族の絆、そして「生きること」の尊さを描く長編小説である。亡くなった人の人生を悼むだけでなく、残された人々が未来へ歩み続ける希望を静かに描いた、命と平和の物語。

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小説を読もう2026/08/03
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