あらすじ

高齢者施設「あけぼの苑」で働く看護士・三好陽は、記憶が長く保てない82歳の元時計師・槙野静雄を担当している。  毎日繰り返される初めましての挨拶、毎日ついてしまう小さな嘘。  静雄の記憶は一日と持たず消えていき、同じ質問と同じ返答が幾度となく繰り返されていた。  しかし、陽はある日、静雄が脈を測る際に必ず「左手首」を差し出すことに気づく。右利きであり、時計も嵌めていないはずの腕を、まるで誰かに時刻を見せるかのように差し出すのだ。  その癖の裏には、彼が記憶から消し去ることができなかった切なくも温かい「身体の記憶」と、彼を支え続ける人々の深い想いが隠されていた――。

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カクヨム
カクヨム2026/08/02
  • 現在の作品【短編小説】白い部屋と左手首の記憶