あらすじ
婚約破棄の上、実家から「錬丹術狂いの穀潰し」として追放された伯爵令嬢・藺明蘭(りん・めいらん)。彼女は亡き母の形見の謎を追うため、後宮の製造部署「造物司(ぞうぶつし)」に下働きとして潜り込む。
ある日、後宮で「先帝の呪い」と恐れられる女官の連続変死事件が発生するが、明蘭は造物司の設備を使った化学実験により、それが呪いではなく「白粉に仕込まれた鉛中毒」であることを論理的に証明してみせる。
その見事な手腕は、密偵長官である謎の宦官・煌天佑(こう・てんゆう)の目に留まる。明蘭は「自由に実験ができる環境」を条件に造物司の主宰に抜擢され、宮廷の怪事件を次々と解決していく。しかし調査を進めるうち、事件の背後に先帝時代に封印された「ある錬成技術」の影が浮かび上がる。
やがて明蘭が失伝した「格物の学」の継承者であることが判明し、彼女を巡って激しい権力闘争が勃発する。しかし、権力に一切興味がない明蘭は、ただ「実験で真実を示す」ことだけで全勢力を論破し、沈黙させていく。結果として国家を動かす重要人物に上り詰めながらも、彼女自身は今日もひたすら炉の前で次の実験に夢中になり続けるのだった。