あらすじ
王太子殿下から、婚約破棄を告げられた公爵令嬢エルヴィーナ。
大広間に集まった貴族たちの前で、聖女への嫌がらせを断罪され、悪役令嬢として扱われた。
けれど、彼女がその場で考えていたのは、悲しみでも怒りでもなかった。
今日中に確認しなければならない書類のこと。
殿下の予定調整、聖女様の式典準備、王妃教育という名の実務、王宮各部署から回される確認事項。
いつの間にか、エルヴィーナは婚約者という立場のまま、王宮中の仕事を抱えていた。
傷つく余裕もないほどに。
倒れ、眠り、ようやく自分の体に戻った彼女は気づく。
悪役令嬢になったのではない。
ずっと、忙しすぎただけだったのだと。
これは、婚約破棄された令嬢が、眠ることと、休むことと、もう戻らないことを取り戻す話。