あらすじ
コンクールでの挫折をきっかけに、大好きだったピアノをやめた小学四年生・芹沢あかり。
結果ばかり求められるうちに音楽を楽しめなくなった彼女は、母と引っ越した町で「もう二度と音楽はやらない」と決めていた。
ところが商店街の楽器体験会で出会ったチェロの深くあたたかな音色に心を奪われ、子ども楽団「ブレーメン・キッズアンサンブル」へ入団する。
楽団で出会ったのは、おっとりしたチェロ奏者・レンと、同学年ながら抜群の実力を持つバイオリン奏者・侑馬。
しかし侑馬は初心者のあかりを「足でまといだ」と突き放す。
悔しさを胸にしたあかりは、先輩・琥珀から大切なチェロを借り、侑馬を見返そうと必死に練習を重ねる。
仲間と音を合わせるうち、あかりはアンサンブルとは一人が目立つためではなく、お互いの音を聴き、支え合って一つの音楽をつくるものだと気づいていく。
そんなある日、侑馬が「コンクールで一位を取れなければ楽団を辞める」と母親から重い期待を背負わされ、音楽を楽しめずに苦しんでいることを知る。
その姿は、かつて結果ばかり求められ、音楽を好きでいられなくなった自分そのものだった。
「侑馬くんに、音楽をきらいになってほしくない」
初めて「見返したい」ではなく「支えたい」と願ったあかりは、レンとともに本当のアンサンブルを身につけていく。
迎えたサマーコンサート当日、開演直前にレンのチェロの弦が切れる。
それでも「ひとりで弾いてるわけじゃない」という侑馬の言葉を胸に仲間たちは舞台へ。
演奏中、焦りで走りかけた侑馬の音を、あかりとレンはチェロでやさしく支え、仲間全員の音を一つにつないでいく。
会場に響いた『キラキラ星』は、それぞれの心を結び、侑馬は自分の意思で音楽を続ける決意を固める。
音楽は誰かに勝つためではなく、誰かと心を重ねるためにある。
その喜びを取り戻したあかりは、仲間とともに新たな一歩を踏み出す。