あらすじ
都内の中心地にある、老舗デパート三高屋。
織川恵杜の朝は早い。従業員用通路を通って、一人エレベーターに乗る。
行き先は、4F。婦人服フロア。
でも、ふと外を見て、開ボタンを押し直す。
先輩が、近づいてくるから。
行き先は、もはや聞くこともない。
3F、紳士服フロア。
大学時代。
階段講義室の最上階から、教壇に立つ先輩を見下ろしていた。
研修時代。
新しいスーツを着て、先輩が読み上げる配属先を、不満気な顔で聞いていた。
これ以上、近づくことも、遠ざかることもない。
そういう相手だった。
「実は私ども、婚約しておりまして」
この嘘を、続けるまでは。
織川恵杜(32)
三高屋中央通り本店 婦人服部門統括MG
コーヒーをよく飲む
×
松下仁礼(42)
三高屋中央通り本店 紳士服部門統括MG
タバコをよく吸う