あらすじ
百日後、婚約者レオンは私をかばって死ぬ。
未来を見た侯爵令嬢クラリスは、彼を救うために悪役令嬢を演じ、王宮の舞踏会で婚約破棄を申し出た。
「あなたのような退屈な方との結婚など、まっぴらですわ」
「一度も、あなたを愛したことなどありません」
完璧な嘘――のはずだった。
けれどレオンは、クラリスが自分への本心を偽るたび、その胸に“本音の花”が咲くことを十年前から知っていた。
《あなたと過ごす退屈な毎日が、私のいちばん欲しい未来です》
《初めて会った日から、ずっと愛しています》
彼が密かに残していた押し花帳には、クラリスが言えなかった恋心が二百四十七輪。
そして今回咲いた、黒い縁を持つ白い花には――
《百日後、あなたを死なせたくない》
黒い花弁が一日一枚ずつ灰になるなか、二人は、毒を盛られる聖女候補、作られた予言、夜空から落ちる黒い矢の謎を追う。
彼を守るため、自分が消えようとするクラリス。
彼女を守るため、自分が盾になろうとするレオン。
愛しているからこそ、一人で犠牲になろうとする二人は、百日後の未来を「前でも後ろでもなく、隣に立つ未来」へ選び直せるのか。
悪役令嬢役が下手すぎる一途な令嬢と、無口なのに十年分の愛が重い婚約者。
嘘から始まる世界恋愛ファンタジー。