あらすじ
築四十年のアパート、福美荘。
二〇三号室の角田圭は数学教師で、半年前からFXの自動売買プログラムを書いている。
隣の二〇二号室に住む毛利稜は、昼まで寝ていて、共用の洗濯機を四時間も放置するような男だった。ある日、誤って届いた封筒を開けてしまった角田は、そこに四千百二十六万円という債務の残額を見る。毛利の部屋には、四枚のモニターが並んでいた。
相場で身を持ち崩した男だ——角田はそう判断し、自分はまだ健全なのだと安心する。その判断が間違っていたと知るのは、確信を持って入った一回の取引で、いつもの八倍を失った夜のことだった。
勝ち方を教えてくれと言った角田に、毛利は答える。教えるのは、生き残り方だ、と。