あらすじ
『光は息をしている』は、戦争によって日常を奪われたウクライナの一家が、絶望の中から再び希望を見つけていく姿を描いた物語である。
キーウで暮らす電気技術者オレクサンドルと妻オレーナ、娘ソフィーアは、平穏な生活を送っていた。しかし戦争が始まり、その日常は一変する。オレクサンドルは捕虜となって家族を盾に脅迫され、オレーナは両親を失い、幼いソフィーアも爆撃や避難生活の恐怖を経験する。それでも家族は互いを支え合い、生きる希望を失わずに前を向こうとする。
終戦後、ソフィーアは東京の音楽大学へ留学し、博多出身の双子・青柳光子と柳川優子に出会う。音楽と笑いを通して友情を育み、三人は国境を越えた絆を築いていく。しかし、戦争の傷跡は終戦後も残り、祖父母ミハイロとカテリーナは地雷事故で重傷を負う。憎しみに揺れるソフィーアを、光子と優子は「憎しみに囚われず、人を支える側になろう」と励ます。
帰国後、ソフィーアは舞台芸術監督として復興に尽力し、ドミトロと結婚。娘スヴィトリャーナとクリリナを授かる。キーウには博多文化を取り入れた「リトル博多」が生まれ、笑いと音楽が人々の心を結ぶ象徴となる。
やがてソフィーアとドミトロ、ファイブピーチ★、爆笑発電所の国内外各支部は、世界各国へ「支援は命を守るために使われるべきだ」と訴え、支援の透明性と民間人への支援を求める活動を広げていく。
本作は、戦争の悲惨さだけでなく、その中でも失われそうになった家族の絆、文化、笑顔、そして未来への希望を守り抜こうとする人々の姿を描く。「光」とは命であり、「優しさ」とは未来へ受け継ぐ力であることを静かに問いかける物語である。