あらすじ
「今日も、誰も見抜けない」
二十七歳の狭山廉は、女声とメイクを磨き、ウィッグや体型補正用のパッド、コルセットを駆使して、清楚な十九歳の女性コスプレイヤー「白瀬ルナ」になりきっていた。
廉が成人限定コスプレイベント「ミラージュ・ナイト」に潜入した目的は、女性参加者を信用させ、連絡先を集めること。完璧な笑顔と気遣いで早くも標的へ近づく廉だったが、その不自然な振る舞いを、派手なギャル系コスプレイヤー「レオナ」に見抜かれてしまう。
しかもレオナの正体は、廉と同じ女装コスプレイヤー・黒崎玲央だった。
「女装することと、女装を使って人をだますことは違う」
玲央の警告を無視し、偽りを重ねていく廉。しかし、二人の駆け引きはやがて会場全体を巻き込む追跡劇へと発展する。逃げ道を失った廉は、ウィッグを外され、メイクを落とされ、偽りの体型を作っていた補正具まで一つずつ取り去られていく。
すべてを暴かれた後に残るのは、「白瀬ルナ」ではなく狭山廉自身だった。
これは、完璧な偽装に執着した男が、自分と同じ技術を持つライバルに返り討ちにされ、偽名ではなく本当の名前で舞台に立つまでを描く、変装クライム・コメディーにして再生の物語。