あらすじ
「聖女の力は偽物だ! 貴様は『忘却の泉』へ沈める!」
証拠もない稚拙な断罪劇の末、婚約破棄され処刑装置へと沈められた聖女セラフィーナ。けれど彼女には、王太子も義妹も知らない秘密があった。
——前世は記憶力コンテスト日本一のデータ復元エンジニア。転生してなお宿した【完全記憶】のギフトにより、彼女は一度見聞きしたものを決して忘れない。
『記憶を消す装置に、記憶を消せない女を放り込むのは、悪手だ』
罪人の記憶を吸い上げるはずの泉は、セラフィーナの記憶を一片たりとも奪えなかった。そして彼女は、泉の最深部で目にする——燐光を放ちながら水没した、幻の白亜の宮殿を。
なぜ処刑装置の底に、宮殿が眠っているのか。封じられた真実とは何か。エンジニアの本能が疼く。
(調べなきゃ)
忘れない聖女が、月光の宮殿ごと隠された真実をサルベージする。淡々と、冷静に、けれど確実に——。断罪から始まる、逆転と発掘のファンタジー、開幕。